炬燵 (短編)
思わず、カバーをめくってみる。
そこにアナタの痕跡がないかと思って。
でも。
そんなものはどこにもなくて。
足元に、冷たい空気が吹き込むだけで。
だからね、また黒のカバーに戻してみたの。
大好きだったミカンも買って上に積んである。
玄関を開けるたび、
「ミカン、買ってきたー?」
そんな声が聞こえそうなんだよ。
目を瞑ると、そこにいる姿が目に浮かぶのに。
やっぱりいなくて。
「ミカンには黒が映えるよね…」
言っても答えは返らない。
そこにアナタの痕跡がないかと思って。
でも。
そんなものはどこにもなくて。
足元に、冷たい空気が吹き込むだけで。
だからね、また黒のカバーに戻してみたの。
大好きだったミカンも買って上に積んである。
玄関を開けるたび、
「ミカン、買ってきたー?」
そんな声が聞こえそうなんだよ。
目を瞑ると、そこにいる姿が目に浮かぶのに。
やっぱりいなくて。
「ミカンには黒が映えるよね…」
言っても答えは返らない。