いつか私は鳥になる
プロローグ
「もしもある日、背中に翼が生えたらどうする?」

放課後の誰もいない教室で、独り言のように囁く天使のような少女がいた。
いつも窓際の席で一人ボーっとしていて誰一人寄せ付けようとしない。
誰かが話しかけてきても一言二言話して
「今日は気分が優れないからまた明日お話しましょう」
と微笑みながらバレバレな仮病を使う。
そう…誰も逆らえないのだ。
彼女の天使のような微笑みには。

柔らかく朗らかに優しく誰も逆らうことができない微笑み。

人は皆こう言う。
『天使の微笑み』
だと。

クラスのみんな…いや、学校中の生徒がみな彼女のことをミステリアスな存在だと思っていただろう。

私も彼女が苦手だった。

美人で頭がよくて、優しくて…全然非の打ち所がなくて…。

まさに天使のような存在。

あんな子といたら自分は霞んでしまうと恐れていた。
でも…何でだろう…。

私はいつからか…天使の存在に救われていたんだ。



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