いつか私は鳥になる
入学式が始まるまでしばらくの間お母さんの愚痴らしき説教を校門前で聞きながら私は春の風を感じていた。
暖かい日の光の香りや、花の香り。
春独特の香りが私の鼻をくすぐる。
ふと生徒玄関前を見ると人だかりが出来ていた。
どうやらクラス発表がはりだされたらしい。

「ほら空!早く自分のクラス見に行きなさい!!
初日で新しい友達作るのよ!」

いやいや、お母さんはりきりすぎだし。
無理だし。

まぁ、見に行かないと自分のクラスにも行けないから見にいくか。
人ごみ嫌いなんだけどなぁ…。

私は重い足取りでクラス発表がはられている生徒玄関前に向かった。

「やったー!私たち同じクラスだよ!」

「本当!?嬉しい!」

クラスが一緒で喜びながら抱き合う女子。

「あ〜ぁ。クラス離れちゃったね」

「でも、お弁当は一緒に食べよう!クラス離れても遊びにいくよ!」

クラスが離れて悲しむ女子たち。

正直に言おう。

ウザイ…。

たかがクラスごときで何で喜んだり悲しんだりすることが出来るんだろう。
別にクラスが離れるだけで学校が離れるわけじゃないのに。
まぁ留年したり、退学になったりしたら悲しむ気持ちも分からないわけじゃないけどね。

ウザったい人混みをかき分けて何とかクラスが掲示されている紙の前までたどり着いた。

「(一年一組…ない。ニ組…)」

[一年ニ組…紺野空]

「あった」

二組か…。
同じ二組のクラスメートを見渡しても知ってる人は誰一人いない。
当たり前か。友達作らなかったもんな。

私は再び人混みをかき分けてお母さんのもとに戻った。


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