バンビ
「あのねレン君、君の両親がそういうことになったは、もうかなり大人になってからなんだよ。
デビューして10年以上経って、ちゃんとファンの子達と信頼関係が出来ていて、みんなが味方してくれたから出来たことなんだ。

今のビトやアキラのファンは、そこまでちゃんと理解できないよ。
まだ若すぎる・・・・」


だから僕からもモモに説得してくれと、そんな風におじいちゃんは話した。


その顔が、やっぱり切なそうでそれ以上嫌だとはいえなくて、そのまま黙って俯いてしまう。



わかってるよ、モモのためだって。

でも、大人になるまでずっと待ってるって、そんなことあいつにできっこないよ。



ビトもきっとそうに決まってる、そう思ってやっと顔をあげて奴を見つめると、


「わかりました」


それだけ呟いて、涙をぬぐった。






「泣いてんじゃねーよ、それぐらいで。」

何も知らないくせに、アキラがふてくされたようにそう言うと、ビトは一瞬で表情が変わり睨み返していた。




「お前みたいな適当なやつには、一生わかんねーよ。」

怒鳴るようにビトがそう言うと、わかりたくもねーよって同じようにアキラが怒鳴り返す。




「なんなんだよ、お前はいつもいい子ちゃんぶって。
俺達まだ15だぜ?これからいっぱいファンの子がついて、今まで以上にもてるようになるんだからよ。
女なんて、選び放題だろうよ!?だから早く忘れろ!!」



おじいちゃんは、そういうアキラに「そういうことは、程ほどにしなさい。」なんて笑いながら口をはさんだ。




ああそうか

なんとなくわかった

アキラはそんな憎まれ口を叩きながらも、なにげにビトを心配してるって。



「今日からは、ちゃんと応援してくれるファンのことだけ考えてろよ・・・
今まで俺たちがやってきたこと、無駄にすんな。」



アキラは、目も合わせずにそういうと、「わかってるさ。」ってビトもそっぽをむいて答えた。
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