バンビ
「え?ああ、なんか新しいストールだったから、かぶれたのかな?」

とかなんとか言って、ちょっとごまかして笑って見せたけど、モモにはすっかり嘘がばれたみたいで、なんかあやしーなーなんて笑われた。


「さっきはほんとありがとう・・・これちゃんと洗ってかえすね、汚れちゃったし。」

モモはずっと俺のストールを握り締めたままだった。

できれば今返して欲しいなーなんて思ったけど、何となくこの状況で返してなんて言えなくて、

「そんなの、適当に捨てちゃっても良いぜ。」

なんて強がってみせた。





注文の品が揃うと、俺は紅生姜をたくさんラーメンにのせて、そのままいっきにかきこんだ。
結構腹へってたんだな・・・

モモは、チマチマとお上品に食べてて面白い。
あんまり食べなれてないのかも?


ラーメンが先になくなってから、スープに高菜ご飯をいれて雑炊にして食べるていると、もの欲しげにモモが見るので、一口食べさせてやる。

「あーラーメンより、こっちの方がおいしいかも?」
なんて言ってモモは笑った。




俺が食べ終わった後も、まだゆっくり食べつづけているので、暫く水でも飲みながらモモが食べ終わるのをしばしまつ。




それにしても、思い切って髪を切ったもんだな・・・
ぜんぜん印象が変って、ほんとに別人みてーだ。

ロンドンの今時の女子みたい。

黒髪で短髪で、華奢な身体が、そのまんまパンクスっぽくて良いなって思う。



短くそろえた襟足に目をやると、短い髪の毛が付いたままで、無意識にそれを取ってやったらキャッと小さな奇声をあげてモモが悶えた。

「あ、ごめん髪の毛ついてた・・・」


それはほんとに何も考えてなかったんだけど、モモは意識しちゃったみたいで顔が真っ赤になってるのがわかる。



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