バンビ
それだけ言うと、あとはなにを話していいのかわからなくなった。

それだけで、マイちゃんも察してくれればいいんだけど…



「ホントに?
私、レンくんは好きな子とかいないと思ってた。
だって、レンくんって誰とでも親しく付き合うじゃない?
ほら、いつもお昼休みにつるんでる、怖そうな男子とか、腐女子っぽい集団のことかにも…」



なんか、ホントに自分のことを見ててくれたんだと思ったら、なんだかくすぐったいような、それでいて少しウザいような気もしてきた。


「レンくんは、そういう誰にでも平等なとことかあるから、モテるんだよ。

私もね、いつも野球部の見学に行くと、友達でもないのにちゃんと挨拶してくれるレンくんが、なんかいいなって思ってた。」



マイちゃんは、かまわず話しを続ける…


「迷惑かもしれないけど、ずっと好きでいてもいいかな?

これからは、ただのレンくんのファンとして見ていくから…」

そんな風に言ってくれた。












あぁ、なんかわかったよ。


ビトの気持ちが少し…

モモを一番大事に思ってはいても、ひたむきに好きになってくれるファンの気持ちも大事にしたいということが。








「ありがとう…」


僕は最後にそれだけ伝えると、マイちゃんに右手を差し出して握手をして別れた。

彼女は、それだけでとても喜んでくれて、同じようにありがとうと返してくれた。
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