バンビ
「タクちゃんってさ、ああ見えてすっごい大人じゃん?
はじめて会ったときも、見た目はただの小僧なのに、姉さんのことを呼び捨てにしたりして、しかもそれがすごく自然で、
ああこの人は魂の年齢がきっとずっと上なんだって気がしたもん。」

ちなみに姉さんって言うのは、僕の母さんのこと。


でも、そのべべさんの話を聞いて、かなり納得してしまった。



「アーそういうことなら、なんとなく分かる。」



エイジもさ、たまにものすごーく大人びているところがあって、本当に同じ年なのかな?って思うんだ。

クラスにいても、決して回りに流されず、自分のポリシーで行動するところとか、人からとやかく言われても、まったく動じないところとか。


逆に、ライブハウスとかに行って、年上の人に紛れている時のほうが、ああやっぱり同じ高校生なんだな?って再確認できてしまうくらい。







エイジは、ずっと黙ったままだった。







「かなわないわけだよね、うちのビトも。」




べべさんは、意味深な表情で、エイジの顔をニヤニヤしながら見ていた。
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