バンビ
「やっぱ面白かった~♪」

一時間ほど動物園を回って、別館の方も堪能したあと、僕らはちょっと遅めのランチをとっていた。


公園の中にある、おしゃれでなおかつ気さくな感じのアジアンレストラン。

カオリさんは当たり前のようにお酒を頼もうとメニューを見ている。


「いい天気だし、昼間から飲めるなんて最高だね。」

そう言って頼んでいたのは、いつものビールじゃなくてレッドアイだった。


僕はしっかり冷えたジャスミンティをもらう。


そして二人で乾杯した。

丸テーブルに、斜向かいに座っているせいか、目の前にいるより目が合いすぎることもなく、ほどよい距離感。

頼んだグリーンカレーとフォーがくると、いつものようにガッツリ食べてしまった。


なんだ、デートってこんな普通でいいんだ、そんな風に和んでいたら、

「やっぱ、レンといると和むな~♪」
なんて、前に何度も言われた言葉を彼女は微笑んで呟いた。



「でもさ、何で私なの?」

フォーをきれいに食べ終わって、レッドアイを一気に流し込んだと思ったら、急に真剣な表情でそういわれた。

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