バンビ
ともだち
毎日授業が終わると、日が暮れるまで部活をしてから一番最後に帰る。

ビトも同じようにがんばってるから、僕もがんばろうと思う、自分の夢に向かってね。


っていうのはちょっと建前で、必死に身体を動かしていないと思い出しちゃうんだ、すぐカオリさんのこと。


部活帰りには、最近毎日のように図書館にも寄って、彼女と一緒に途中まで帰るけど、前とそんなに変わらない感じ。

カオリさんはモモみたいに、部活帰りの僕のことを、臭いとかいわないから気が楽。
一回大丈夫か聞いてみたけど、本気で何も嫌な感じはしていないみたいで、ああそういうところも相性がいいのかなってぼんやりと思う。

お互いの香りが好きだと思えるのが、一番いいんだとか、何とかって先生が言ってたもんなあ・・・


カオリさんはいつも、バニラみたいな甘い香りがする気がする。
そういうところも好きだなって思う。




七月に入って、授業も短縮になり、部活や試合も増えていった。

高校にはいってからの部活は、中学のそれとはまた違ってレベルアップしている。
中学に入ったときも、練習がきついなって思っていたけれど、またさらにきつくなってきたよな。

僕がきっと、野球以外のことも忙しくて、週末もしっかり休んでないからかもしれないけど。


炎天下の中くらくらしながら、ヤバイと思ってすぐ水分を補給すべくマネージャーのところにいって休む。


倒れちゃいけないと思いつつ、すぐ無理をしちゃいそうになるのは、お父さんの血何だろうか。
今はまだましになったようだけど、それこそ僕が生まれた頃なんてのは、尋常でない仕事量だったらしい。

「この仕事は、いつでも大丈夫じゃなきゃいけないんだよ。」

それはお父さんの口癖で、どんなに体調が悪かろうが、怪我をしてようが、やらなきゃいけないことはやらなきゃいけない。



今日は早めに部活も終わったけれど、カオリさんはライブに行くからといって久しぶりに待ち合わせはしなかった。

まだ明るい時間に帰るのは久しぶりだななんて思いながら、山手線に乗って目黒駅に着くと、乗り換えの途中でばったりとビトに会った。


「あれ、ビトも学校帰り?」

ビトの行くインターナショナルスクールは制服がないからわからなかったけど、適当にそういうと、やっぱり珍しく学校からの下校途中だったらしい。

「なんか久しぶりだね、この後暇?」

いつもの笑顔でそういうから、僕んちにまたくるって言おうと思ったけど、ああモモがいると気まずいかなと思ってちょっと戸惑った。

「カラオケでも行こうか。」

やけに元気そうにいうので、もう大丈夫なのかと逆に心配しちゃう。
伊達に長く付き合ってないからね・・・


それから僕たちは、駅の近くの適当なカラオケ店に入ることにした。
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