バンビ
やっぱダメだなあ・・・

このまま俺我慢できるんだろうか?

モモはそんな俺の気持ちなんかわかってないから、思いっきり思わせぶりなしぐさばっかりするし、無意識なのか狙ってるのかずっとドキドキしっぱなしだ。


ちゃんといっとかないと、また先週みたいになるからな・・・




水族館の館内は子供ばっかだったから、何とか気がまぎれてよかった。室外展示の場所に行くと、広々としていて海も見えるし、ペンギンも山に登っている。

ペンギンは好きだ。なんか奴等はパンクだ。

ファーストペンギンなんて言葉もあるくらいだからな、かっこいいじゃんか。


モモと2人で、半地下の展示のところまで降りてみると、水の中で泳いでる奴らも見れる。
スゲー早く泳ぐのがやたらかっこよくて、陸でヨチヨチ歩いてる奴らとは別の生き物みたいだ。


思わず楽しくなって鼻歌なんて歌ってしまったけど、実際口ずさんだのは”底なし”なんて歌で、

散々バカやってやっと手に入れたんだぜ・・・

希望があるんだかないんだかぼんやりした歌だったけれども。


「可愛いなあ、ほらあんなちっちゃいペンギンも居るよ。」

モモはフェアリーペンギンを指差してはしゃいでいる。
チューかそうやってるお前の方がかわいいとか思ったけど、それは言えずに居た。



出口の方に向かう順路には、渓流やら池やらちょっと薄暗い散歩コースもある。
このへんは見ないで帰る人が多いのか、あんまり人が居なくて静かだ。


なんだか2人きりだなあなんて、相変わらず手を繋いで歩いていると、またちょっと緊張してくる。

モモが俺の顔を見上げてながら、ぎゅっと手を握ってくる。
その顔が、キスしてほしいって言ってるようで

「どうした?」

そうやってきくと、なんでもないって真っ赤になってうつむいてしまう。


あーどうしようかなーって悶々としてると、後ろからにぎやかな家族ずれの人たちが着たので、足早にその場所を離れた。












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