バンビ
「ちゅーか、お前は全然違うじゃんか!」

いきなりテンパって指差されるから、思わず又笑ってしまった。


「なにむきになってるの?エイジ君だってそうだよ。」


モモがそんなふうに言ってくれるので、正直驚いた。
結構俺、好き勝手にしてる気がするけどなぁ…

自然とやってることが、モモにはそう受け取ってくれてんのかな?


「あー、信用できない!」

そういわれるほうが当然だって思う。だって父親だもんな…


「あれでしょ、なに言ったって気に入らないんでしょ?そんなもんだよなぁ…」


モモはとっても、この人に愛されてるんだなとわかる、それが羨ましいって言うか…


「良いな、普通の親父さんなんだな。
うちは親父居ないから。」


「え?居るよね?」

モモが不思議そうに聞いてくるので、居ないようなもんだからと答えた。


「ここ数年、まともに話したことねぇもん、一緒に住んでないしな…」

レンが遊びに来ていた時は特別だった。
いつもは居たってずっと無視してるから、俺が。

何でそうなったんだっけな…

思い出そうとすると、なんだかとても泣きそうになるんだ。



「年頃の男子なんて、親と口聞かないのは当たり前だろ。ただの反抗期じゃねーかよ。」


かずなりさんにそう言われて、そんなもんなのかなと思う。
そう思うと、ちょっと楽になった気がする。



「でもお父さんは、レンとは暇さえあればキャッチボールとかしてるじゃない。」

今度はモモがそう突っ込んだ。

「あいつは人懐っこくておしゃべりだからな。」

あいつのことを思い出したのか、やっと笑ってくれた。

レンって凄いな、居なくても和ませてくれんのな。


「そうだ、お昼まだでしょ?私なんか作るね。」


モモはやっと安心したようで、さっさとキッチンにいってしまった。


又二人きりになったけど、さっきよりはましになったかな?



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