バンビ
遅く起きた朝、カオリさんはちょっと早く起きていた。

ご飯の炊ける香りがする、ああうちの朝みたいだってぼんやり思う。


「おはよう、よく寝てたねえ。」

カオリさんはいつも以上に元気で、昨日あんなにやったのに疲れてないのかな?

僕は寝癖でぐちゃぐちゃになった頭をかきながらベットから起きようとしたけど、いつもの朝のあれがあれなんで、しばらく出られない。



そういえば、呼び方変えてみればってテツさんに言われたの思い出して、ちょっと悩む。

「カオリ?」

試しにそう呼んでみたけど、ハイ?ってすっとんきょうな返事をされて、ダメかもってしょげた。


「いまよんだ?」

「いや、何でもないです…」


ベットの僕の所まで来て、顔を覗きこむから、よけいおさまらなくて…


「ちょっと、もう一回させて…」

彼女の手を引いてベットに引きずり込むと、勢いでもう一回やってしまった。



おかげでやっと落ち着いたけど、あとでちょっと怒られた。
嬉しそうだったくせに…


したあとシャワーを浴びているうちに、カオリさんはご飯と味噌汁と卵焼きを作ってくれた。

うちはいつも朝はおにぎりだけど、こういう普通の朝飯は久々。


「お米いっぱい炊いちゃったから、食べてってよね…」

ちょっとむくれてそういうけど、顔が真っ赤だよ。



「美味しそう、ちゃんと全部食べれるよ!」

僕はいつものように、ガツガツとご飯を食べた。



「っていうかさ、なんでまだ裸なのよ…」

あ、下は履いてたけどシャツ着るの忘れてた、暑かったから。



「いいじゃん、どうせまたしたいでしょ?」

もう充分だったけど、まだその気になればイケるなって思って試しに言ったら、「バカ!」ってその辺にあったお手拭きを軽く投げられてしまった。

「ウソウソ、冗談だってば。」

食事の途中で、慌てて服を着ると、ちょっと寂しそうに僕を見るので、やっぱ期待してたのかなって思う。








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