バンビ
最近は朝からバイトをしているから、いつもより早く帰れる。

一人で暇だなと思いながら、なんとなく渋谷まで来ていた。

たまにのぞく布地や手芸用品の店、よく革ジャンに刺す鋲を買いに来る。


たまには何か作ってみようかと思った。
夏休み暇だし。


だったら、モモの誕生日に合わせて作るかな・・・



色々な布地を選んでみる。
手触りのいいもの、綺麗に見える色、あいつに似合うのはやっぱりピンクかな?

名は体を表すとはよく言ったものだ。


さっきモモのTシャツのサイズを選んでいて、あいつの身体を思い出してしまった。

華奢だけれど、やわらかくて、胸も腰周りもふっくらと女らしいラインだった。
特別な運動とかしてないと思うけど、知らないところで何かやってるのかな?


あいつに似合うドレス


そんなことを想像していた。

どこに着ていくとか、そういうのはどうでもよくて、ただモモが素敵に見えるドレス、それを作ってみたいって。



今のバイトを始めるきっかけは、よくファッション雑誌をみていたからだった。
メンズのもの以外も、ストリート系からモード系まで男女問わずいろんな雑誌。

音楽とファッションって、似ている気がする。
同時進行で進化していくカルチャーのような気がする。

例えば、かっこいいパンクファッションをしてるストリートのパンクスの写真を見ると、どこからか頭の中でピズトルズが鳴り響く気がするんだ。


モモには、ふわふわひらひらしたものも似合うけど、もっとアバンギャルドなハードな服もいいかなとも思う。
どっちとも上手く合わせらんねーかなとも思う。



試しにピンク色のシフォン生地の布を買ってみた。


ふわふわしてて気持ちよくて、思わず抱きしめたくなるような生地。


まだ、ちゃんとした服なんて作ったことなかったけど、がんばってみようと思えた。





っていうか、ずっと何かしてないと、思い出しちまうんだ、あいつのことをずっとエンドレスで。
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