バンビ
Under the Blue Sky
日曜日の朝、モモはなんだかまた時間をかけて洋服を選んでいた。

みんな早く行って飲んでるとか言ってたから、僕も本当は早く行きたかったのに、モモとエイジは結構開場ギリギリの時間に待ち合わせしてるから、それに付き合わされることになった。


2人で電車に乗って出かけるのって久しぶりだなあ・・・ライブに行くのだって、ビトのデビューライブの時以来かももしかして。


二人で歩いていると、通り過ぎる人がみんな振り返る。特に若い男子は必ずってほど・・・・
だって

「それにしても、そのハイソックスなんかエロくない?」


短パンにニーソは反則だ、エロ過ぎでしょう、特にモモがやると・・・


そのTシャツだって、ジュンさんが買ってくれたエイジんとこの店の服だけど、結構胸強調されてるし。
ちゅーか、僕もほしかったなあ、あそこのTシャツ。


最近ずっとエイジが送り迎えしてたせいか、近所のモモのファンのお兄さんたちを見かけなくなっていたけど(きっとエイジにびびってんだな)、また違うファンが付きそうでちょっと心配。

エイジもほっとけないだろうなあ、こんなんじゃ。


「普通にボーイフレンドデニムとかスキニーとか着て欲しかったんじゃないの、エイジは。
せめてレギンス履くとかさぁ…」

そういってあげると、「だって暑いんだもん。」とか言いながらも、普通に反省してるっぽかった。


最近やっとわかったって言うか、ビトといる時はなんか計算っぽい感じがしてたんだけど、エイジと付き合ってからのモモはなんだか天然だ。

今日の格好もただ自分が可愛いと思ったからしたんだろうな、怒られるぞきっと・・・



野音につくと、入り口のところに一人でぼんやりと立っているエイジをすぐ見つけられた。
いつものかっこいいどっかのブランドのTシャツと、細身のブラックジーンズに、鋲付きのベルト。
SKAのライヴでは珍しいから結構目立つ。
でも、クラッシュとかもSKAっぽいから、ありっちゃありなんだけどな。

こっちに気付いて手を振ると、モモの姿をまじまじと見て溜息をついている。

ほらやっぱり・・・

「お前、何なの。ちゃんと言ったろ。」

モモの格好がやっぱエロ過ぎるもんな。


「だって、暑いんだもん。なんか変だったかなあ・・・」

そうモモが言うと、変じゃないけどってエイジは目をそらしてなんだか照れていた。

「ただでさえお前目立つんだからさ、もっと地味にしてろよ、こういうところでは。」


「なんかお父さんみたいな事言ってる。」
僕は笑って二人にいった。



カオリさん達もそういえば、この辺に居るはずなんだけどな・・・

キョロキョロ見回していたら後ろの方から声がしたので振り返ると、カオリさん達は入り口のところでもう宴会を始めている。

三人でそっちに合流した。


「桃ちゃん久しぶりだね、あぁーそっちが噂の彼氏だ。」

カオリさんは初めてエイジに会ったのに、なんだか昔からの友達みたいな感じで話し出す。

「やっぱテツさんそっくりだね~!」

うわ、いきなりそれ言っちゃうんだって焦った。


「おい、お前の彼女ってどれ?」
小さい声でエイジに言われて、今話してる人って言ったら、苦笑いしていた。

でもすぐにカオリさんはエイジにビールを勧めるので、いっぺんに態度が変わってすぐに打ち解けた。

なんか、エイジ怒らすと怖そうだから、ちょっとヒヤッとするよ。




「レン君の妹さん?、可愛いね~」

シンジさんもこういうロリっぽい子好きだもんな、でも今日は後で彼女がくるっていってたのでよかった。
最近彼女が出来たらしい。

ナホさんとミヤコさんに、「お父さんそっくりだねえ」なんてモモは言われて女子同士でなにやらアイドルトークを始めた。


「カオリさん何時ぐらいから来てたの?」

「えっとね、お昼ぐらいかな?適当にあっちの何とかフェスやってる屋台でみんなでご飯食べてたよ。レンもくればよかったのにね。」

僕はモモとしっかりお母さんがつくった昼飯食べてたからな。

「今日はモモつれて来なきゃいけなかったからさ、早くきたかったんだけどなあ・・・」

そうぼやいてたら、
「なんだ、それじゃ俺が迎えに行ったのに。」
ってエイジに言われる。

「っていうかさ、私一人でも大丈夫だからね。結構どこでも行けるよ。」

モモが僕とエイジにそんな風に言うので、お互い顔を見合わせた。



「彼氏も兄ちゃんも、過保護だねえ~」

カオリさんがそんな風に言って笑った。



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