バンビ
夜も遅くなり終電もなくなってしまい、結局俺たちはみんなそのまま泊まる事になってしまった。

そういえば、一晩モモと一緒にいたことなんて、まだないんだよな・・・
レンですら、この前カオリンとこに泊まったって言ってたのに、なんか先を越された気分だ。

リンダんとこはよく泊まってたけど、まあそれは今はどうでもいい。

泊まるといっても、みんないるわけだからな。


2人っきりとかだと、絶対抑えが利かなくなるだろうから、丁度よかったかもしれない。


男子三人が先に、順番に風呂に入った。

初めて入る風呂は、男性用と女性用のシャンプーとか色々あって、なんでも勝手に使ってってレンにいわれたので、モモはどれ使ってんだろうなって思いながら、レンが使ってそうなトニックシャンプーを使わせてもらう。

隣にあったバラのボディソープを手にとって見ると、モモの匂いがしたので、ああこれだなって思う。


ヤバイ、この香りって色々思い出しちまう・・・


ひとんちなのに、誘惑が多すぎて困る。


レンの部屋に戻ると、入れ違いでレンが風呂に入りに行く。

いつのまにか布団がしいてあって、シンジさんが先に横になって適当に音楽なんか聞いてレンの持ってる漫画なんか読んでいた。

なんかこの人見てると、ちょっと邪念が消えるので助かる。



「そういえば、彼女来てたんじゃなかったんでしたっけ、さっきの野音。」

結局ずっと指定席には戻らなかったから、みんながどうしてたかよくわかんなかったんだよな。

「うん、きてたけどね、途中から来て早く帰っちゃったから。今日も明日も仕事だって言ってたし。」

ちょっと見てみたかったなって残念に思う。

なんていうか、みんなどんな感じで付き合ってんだろうなって気になるし。


「エイジ君とモモちゃんは、仲いいよねえ・・・」

なんとなく意味深な感じでそういうから、シンジさんとこはうまくいってないのかね?


「まだ付き合いたてですからねえ・・・これからどうなるのかわかんないっすけど。
俺、まともに付き合うの初めてだし。」

ついぶっちゃけてそう言うと、「え、そうなの、意外だなあ。」なんて新鮮にびっくりされた。

みんな俺のこと、どう思ってんだよ。

「俺ってどんなイメージなんっすかね。」

おかしくなってそう聞くと

「うーん、なんていうか、百戦錬磨って感じ?」

なんだそれ・・・


「俺そんな、モテないっすよ。」

そうだよな、リンダとモモしか女は知らないし、クラスの女子とかもほとんど口利かないし・・・

まあ、ライブハウス行けば、知り合いの人とかとちょっと話すことはあっても、みんな子ども扱いで何もないもんなあ・・・

そういうシンジさんだって、物腰は優しい感じなのに、何気にガタイはいいし、そいうギャップってもてそうだけどな。

「僕だって全然だよ、もうすっごい久しぶりの彼女だしなあ・・・」






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