バンビ
「ごめんね、わたしいると邪魔だよね。」


ビトのライブが終わると、モモは申し訳なさそうにそんなことを言う。


「何言ってんだよ、邪魔じゃねーよ。」


そういって頭を撫でてあげると、あっちのステージはレンと二人で見てきなよなんていってくれる。



「だってお前、一人じゃ危ないだろ。」


「大丈夫、カオリさんとかと一緒だから。」


じゃあランシドだけ見てくるといって、カオリンにモモを任せると、俺はレンと2人で隣のデカイステージに向かった。




そういえばモモと付き合ってから、まともにパンク系のライブいってなかったなって、ちょっと血が騒ぐ。


レンと一緒に最前の方までモッシュに揉まれてたどり着くと、曲に合わせて回りの奴らに持ち上げてもらう。

そのままみんなの上にダイブすると、誰かの鋲に引っかかって右腕を切った。


ああこの感覚だ・・・


痛みが快感に変わるとき、もうどうにでもなれて思う。



何だかそれが懐かしくて胸いっぱいになった。



一通り暴れた後レンを見つけると、汗まみれなまま後ろに下がる。



「ヤバイ、最高!」


レンがやたらはしゃいでいるので、俺もつられてハイタッチなんかしていた。



「また怪我してるじゃん、大丈夫?」

こんなのかすり傷だよって笑うと、急にモモの事が心配になって携帯で連絡を取った。



「エイジ、カオリさんとモモ、なんか楽屋にいるみたいだよ。」


俺が連絡を取る前に、レンのところにメールが来ていたらしく、レンについていって楽屋の方に向かった。
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