バンビ
「女って陰険だから、いじめとかあったりするんだろ?」

さらっとそうきいたら、まあねってまた溜息をつく。


「もういい加減、慣れてきた。
ビトのオリキの子達には、もうばれてるし公認って感じで何もされなくなったけど。」

「オリキって何???」

不思議な言葉が出たので思わず聞き返した。



「追っかけに力を入れている人、略してオリキ。」


ああそうなんだ・・・

なんか、アイドルの世界って、不思議な言葉があるんだな・・・


「グルーピーとかとは違うんだ?そういうのって。」

思わずそう聞いたら、今度はグルーピーって何って聞き返された。


「好きなアイドルとかバンドの男を追っかけて、そいつらとヤルのが目的な女。」


ヤルってなにをって真顔で聞いてきたので、ちょっと恥ずかしくなって、勝手にググって調べろってそれ以上は言えなくなった。



「ああ、なんかやらしいことなんだ・・・」




なんか、思った以上に純情ちゃんっぽくて、拍子抜けする。

きっと、大事に育てられてんだろうな・・・りんさんの子だしな・・・




「ごちそうさま。」

ケーキを食べ終わって、ふとモモを見ると、相変わらずこっちをじっとみている。



それにしても、相変わらず顔ちっせー

頬杖をついている両手も、真っ白で小さくて

真黒でロングなストレートヘアを、前髪パッツンに切りそろえている感じなんか、マジで人形みたいだ。



「お前、もてるだろ?」

不意にそんなことを聞いたら、ウンって普通に頷きやがる。


「あんまり男子がウザイから、女子高行くことにしたんだもん。」

へえ、自分で言うかよって、ちょっと笑った。


そういうふてぶてしい感じなんか、こいつの父さんの芸風に似てるなって、ちょっと思ったりして。




「ねえ、エイジ君はもてるの?」

同じ質問を逆にされて、そんなの自分ではわかんねーって答えた。



「なんとなく、年上の女には評判いい気もするけどな・・・」


そんなこと言ったら、レンと一緒だって笑われた。
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