バンビ
「レンはねー年上の人にしか興味ないみたい。
友達も、20過ぎの女の人ばっかだし・・・」


そういえば、そんなこと言ってたなって、ぼんやり思い出す。

なんていうか奴は、かわいくて母性本能くすぐるタイプって気がするもんな。
男というよりは、ペット感覚で連れて歩きたいとか、女なら思っちゃうんじゃね?

ビトのいる事務所なんかにはいってたら、それこそトップアイドルになりそうな感じ。



「あいつは、うちのクラスでも人気者だからな・・・
いつも誰かと一緒に笑ってる感じがするわ。
女子にも相当人気あると思うぜ。」



やっぱりねーって、モモは嬉しそうに笑った。

きっと自慢の兄妹なんだろうな。






「なんか、エイジ君って話しやすいな。
他の男子とかだと、普通におしゃべりしてくれないんだもん・・・つまんなくって。」


ああ、それはお前といると、男は緊張するからじゃねえ?って思ったけど、それは言わないでおいた。


「ビトもそうなの?」

そう聞きながら、残っていたコーヒーも飲みほす。


「うううん、ビトはちゃんと何でもお話聞いてくれるし、なんでも話してくれるよ。」

昔から知ってるからねって、ちょっと淋しげに呟いた。





「あのさ…」


ちょっと言い辛そうに、モモは急に目線をそらす。


「なんだよ…」





「私たちって、やっぱおかしいのかな?」


一瞬何のことかわからなくて、なんだよってもう一度聞き返す。





「もう3年も付き合ってるのに、何もないんだよね・・・」





「ああ、ビトとやってねーってこと?」


そうはっきり言ってやったら、急に真っ赤になってモモは小さく頷いた。





「大事にされてて、いいんじゃねーの?俺にはよくわかんねーけど・・・」


なんか、二人っきりでデートとかしてないっぽいことレンも言ってたし、やろうにもやれる環境じゃないんだろう。
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