バンビ
ハイ????



一瞬なんでこいつが知ってるんだって、目が点になった。




「なんだよそれ。」


レンが言うわけないし、ビトが自分で言うのもおかしいしな・・・


「あいつのファンの女にでも、変なこと吹き込まれたのかよ。」


考えられるのは、それくらいだった。

でも、モモは首を横に振って違うよって言う。



「中1の時さ、ビトと久々にあって、こっちで生活するようになったとき、あんまりビトが昔と変わっちゃってたんで、何となくわかった・・・
女の勘ってやつ?」




なんかこいつ、鋭すぎてこえーなって、ちょっと思いながら、黙って話を聞いていた。


勘でそんなのわかっちゃうのかよ・・・ビトもかわいそうに・・・




「ちゃんと聞いたわけじゃねえんだろ?
それに、誰とやってたって、別に気にすることねーよ。
男は、好きじゃない女ともやれるんだし。」



女だってそうだろって言いそうになって、その言葉を飲み込んだ。

なんとなくリンダの事を思い出して、切なくなったから・・・




「なんか複雑・・・
ビトは昔からもてるし、そういうのあって当たり前ってどこかで割り切ってるけど。
でもやっぱ、なんかもやもやする・・・」


「そりゃあそうだろうな・・・
そんなに割り切って付き合えるほど、まだ大人じゃないだろうしな。」


コーヒーを飲もうとしたら、もう空だったのに気付いた。
そのままカップを置くと、モモが気を利かせておかわりを持ってきてくれる。




可愛いし、結構気はきくし、ちょっと生意気だけど、素直でいい女だよな・・・

ビトが大事にしたがる気持ちわかる気がする。

自分で壊したくないくらい、大事に大事にしてるんだろうなって思う。





「お前、凄く思われてるんじゃね?ビトに・・・羨ましいな、なんか。」


だから気にすんなって、思わずモモの頭をなでてやった。
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