バンビ

「だからこそ、色々大変なこともあるんだよね･･･
どんなに自分が努力したって、どうせあの親だから当たり前って思われちゃうんだ。
それに、モモちゃんにもぜんぜん彼女らしい事してあげられないし･･･淋しい思いばっかりさせちゃってるし･･･｣




話し疲れて喉が乾いてきたから、タッチパネルで二人分のドリンクのおかわりを選ぶと、ビックリするくらいすぐに店員が飲み物を持ってきた。

大学生くらいのアルバイトの女が、満面の笑顔でビトをチラチラ見ながら名残惜しそうに俺らの個室から出て行く。

ビトはそんなのになれたように、ありがとうと言って適当に微笑み返していた。


やっぱ、ドコにいてもこいつは人気あるんだよな。





「もしかして、まだモモとやってないだろ？」

俺は、急に話を戻しながら、おかわりのコーラを一口飲んだ。

やってないのは知ってるけど、あえて知らない風に言ってみたりしてな。




「やっぱりわかる？」

ビトは、モモの話をフルと、すぐに赤くなるので面白い。

それ以外の話だと大人っぽい気もするのに｡




「でも、お前はもう他の女と経験済みなんだろ？｣


追い討ちをかけるようにそう言ったら、何で知ってるんだっていう風にビックリされた。



「うん、別に好きでやったわけじゃないし、未だになんでモモちゃんじゃなかったんだろうって後悔してる･･･
ちゅーか、レンから聞いたの？」


レンから聞いてなくても、今までの話しの流れを聞いてると、何となくわかるけどな･･･

お互い童貞同士だったら、俺なんかよりレンに相談するはずだろうし。



「あいつからはっきり聞いたわけじゃねーけど、さっきからの話とか聞いてりゃわかるよ。」


とりあえず、レンからも聞いてたことは、やんわりと伏せておいた。










「エイジはさ、初めての時どうだった？」