バンビ
一通りことがすむと、リンダは笑って「よかった」って言ってくれる。

それがなんだか恥ずかしくて、まともに彼女の顔が見れない。

きっと嬉しくて、顔が真っ赤に高揚してる。

そんな自分を見られたくなくて、わざと背中を向けて横になっていると、まるで子供をあやすように頭を撫でてくれた。




「シャワー浴びてくるわ・・・」


なれたように、リンダはそのままバスルームへ行ってしまった。

まるで、さっきまでの事を、無かったことにするかのように。




そんな時は、いつもやりきれなくて、俺なにやってんだろうっていつも思う。

何であいつは、いつも余裕ぶっこいて、俺を受け入れてくれるんだろうって思う。







リンダは、うちの親父が好きなんだろ?






そう思うと、好きだなんてはっきりと伝えることは出来ない。

きっと届かないって、初めから諦めてしまっている。





ビトとモモみたいな、お互いちゃんと惹かれあってるカップルが、羨ましくて仕方が無かった

たとえ身体の関係はなくても。




そういえば、俺もまだ16なんだ・・・



何でこんなに、あいつらと違うんだろう?

何でレンみたく、素直に笑えないんだろう?




「どうしたの?」


バスルームから戻ってきたリンダは、もうTシャツと短パンに着替えていて、いつのまにか俺の頬に流れていた涙をぬぐってくれていた。


「ゴメン・・・いつも余裕がなくて・・・」


なんか今日はどうかしてる。

慌てて涙を拭うと、俺もバスルームへ向かおうとした。




「エイジはさ、そのままで大丈夫だよ・・・うん、大丈夫だからね・・・」
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