もしも、世界が美しかったら
私たちは毎日一緒に馬鹿やって、楽しく過ごしていた。
夏琅はたまにサッカー部に顔を出しに行ったりしている。
放課後にはみんなでカラオケやゲーセンなんかに行って遊んだりもした。
涼介が言ってた「私と夏琅が付き合って1周年記念の前夜祭」ってやつも本気だったらしくて拓也の家でお菓子だのジュースだの持ってきて7人で馬鹿騒ぎした。
しかし、翌日の日曜日は初デートで行った少し遠くの水族館に行こうって話だったんだけど、夏琅の体調が優れず中止になってしまった。
夏琅は行くって言ってきかなかったんだけど、私が止めた。
夏琅の病気の事以外は今まで通り普通に時は流れている。
そしてあと1週間で夏休みまで、迫ってきていた。
「わりー、ちょっと用事あるから先に帰ってて」
「「また?」」
帰る準備を終えた私と利玖の声がハモった。
…………ここ最近、夏琅は毎日こんな感じで放課後になると何処かへ行ってしまう。
最初は先生に呼び出されてるとか友達に用事とか考えていたけど、毎日となると何か怪しい。