もしも、世界が美しかったら



「ごめんって!じゃあな!!」

返事をする前に夏琅は私と利玖の間を通って出口へと歩いていく。

………あ、今。

思わず私は振り向き夏琅を見た。


「夏琅!」

呼び止めたのは利玖。

「ん?なに?」

不思議そうな顔をする夏琅に、
利玖は何か言いかけてやめた。

「なんだよ?」

「あー…やっぱ良いわ!」

「んだよ!」

変なヤツ、って言いながら夏琅は教室を出ていった。


「なぁ、來」

「なあに?」

「あいつ……香水変えた?」

「え…っ」

私は利玖を見上げた。


「あ、それ私も思った!」

「俺も!」

愛輝と涼介も気づいてたみたい。

あ、サッカー部の涼介は昨日の雨で今日は中止らしい。

バスケ部の由輝は部活に行った。

花梨は委員会だけど、すぐに終わるらしいから教室でしゃべりながら待ってることにした。


「何かさ…甘い?よね??」

「おー、」

「でもさ、普通にいつもの香水の匂いもするよな?」

「うん………」

夏琅がいつもつけていたのは、爽やかな香りの香水。





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