もしも、世界が美しかったら
ずーーっと前に一緒に買い物に行ったときに、「どれが俺に似合う?」って聞かれて私が選んだやつをずっとつけてたのに……。
いや、今もそれなんだけど…。
たまに全然違う香水の香りがするんだよね。
「でも、あの匂い知ってる気がするんだけどなぁ…」
首を傾げながら小さく呟く愛輝。
「そうそう……」
みんなうんうんと、頷く。
でも、この中で夏琅以外にいつも香水つけてるって……。
「っ、俺じゃねぇよ!?」
利玖しかいないんだけどな…。
確かに利玖じゃないよね。
利玖の香水も甘いけど、なんか甘いの種類が違うよーな……。
「大体な?あんな甘ったりィのつけるのは、女……………」
利玖は途中で言うのをやめた。
「わり…」
「ううん……」
「「………………」」
おもーい沈黙が流れる。
だよね、あの甘い匂いは女物。
「大丈夫だって!夏琅は來にベタボレだからさっ」
ポンポンと涼介私のが背中を叩いてくれた。
「うん………」
ガラ……ッ
「お待たせ!…って、あれ?」
教室の扉の方に振り向くと、委員会を終わらしたらしい花梨が立っていた。
「どうしたの?」