もしも、世界が美しかったら



怒ってるというより、悲しいんだろうな。

私だってそうだし。


來と二人になりたいからとかならともかく、今まで何の関係もなかった小松さんなの?

夏琅はずっと小松さんと一緒に居たかったの?

でも、夏琅の性格からして自分の本音を隠しながら過ごすなんて、そんな器用なことできないし…。


「行こうよ、体育館」

不意に來が口を開いた。

その目はまっすぐ体育館を見つめていた。










夏琅に言われた5時になって私たちは体育館にやってきた。

中から何か聞こえてくる。

何やってんだろ??


―――ァァアアアァ…

由輝を先頭に扉を開けると、そこはスゴい盛り上がりで、体育館は人が溢れかえっていた。

…………何、コレ?


「!!なぁ、アレ!」

利玖がステージの方を指差す。


「あー…マイクテストちゅー」

そこには左手にギターを、右手にマイクを持った夏琅がいた。


「ほら、行くぞ」

「ぇえ?」

由輝が來の手を掴んで人混みの中を進んで行った。


「お前らもついてこいよ?」

残された私たちは顔を見合わせて人混みをかきわけて由輝についていった。






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