もしも、世界が美しかったら

―由輝side―





夏琅が入院する病院は、家から
バイクで大体20分くらいかかるところだ。


真夏特有のジリジリとやけつくような太陽の下……俺は暑いからと嫌がる愛輝に無理矢理ヘルメットをかぶらせ、バイクで病院までやってきた。



「夏琅、何してるかな?」

「さぁ?もう、誰か来てるかもしれねーしな」

夏休みに入ってから、一週間くらい経った。

暇さえあれば、みんな毎日の様に見舞いに来ているらしい。

俺は、昨日は部活の練習試合で来れなかったが一昨日は午前中に、その前は部活が終わってから、
顔を出していた。


夏琅は今のところは元気だ。

よく笑うし、よく食べる。

いつも病院はヒマだヒマだと騒いでいる。



「なーつろ!」

愛輝がノックもせずに病室の扉を開ける。


もし、夏琅が着替えてたり、來とキス、もしくは(病院だしないと思うが)キス以上の事をしてたらどうするつもりなんだ?

まぁ…今まで幸いにも、そういう状況には遭遇してないが。


「お、愛輝ー」

「あ!ギター」

ちょうどいいくらいに涼しい病室の中で、夏琅はベットに座ってギターを弾いていた。







< 117 / 244 >

この作品をシェア

pagetop