もしも、世界が美しかったら
―由輝side―
夏琅が入院する病院は、家から
バイクで大体20分くらいかかるところだ。
真夏特有のジリジリとやけつくような太陽の下……俺は暑いからと嫌がる愛輝に無理矢理ヘルメットをかぶらせ、バイクで病院までやってきた。
「夏琅、何してるかな?」
「さぁ?もう、誰か来てるかもしれねーしな」
夏休みに入ってから、一週間くらい経った。
暇さえあれば、みんな毎日の様に見舞いに来ているらしい。
俺は、昨日は部活の練習試合で来れなかったが一昨日は午前中に、その前は部活が終わってから、
顔を出していた。
夏琅は今のところは元気だ。
よく笑うし、よく食べる。
いつも病院はヒマだヒマだと騒いでいる。
「なーつろ!」
愛輝がノックもせずに病室の扉を開ける。
もし、夏琅が着替えてたり、來とキス、もしくは(病院だしないと思うが)キス以上の事をしてたらどうするつもりなんだ?
まぁ…今まで幸いにも、そういう状況には遭遇してないが。
「お、愛輝ー」
「あ!ギター」
ちょうどいいくらいに涼しい病室の中で、夏琅はベットに座ってギターを弾いていた。