もしも、世界が美しかったら
―利玖side―
「愛輝さ、好きな人いる?」
電車で夏琅が入院している病院に行く途中……。
「ウチのクラスの宮前と花田って付き合ってるらしい」と、クラスの奴らの恋バナの話になった。
「意外だね」
「でも、同じ部活だから夏休みでも毎日会うしな」
なんて言って、盛り上がり、
他にも色んな奴らの話をする。
………で、流れに任せてさりげなく昨日由輝にした質問を愛輝にもしてみた。
「で、愛輝は?」
「え?」
「ほら、夏琅と來は付き合ってるし、涼介は花梨が好きだしで…なんだかんだでみんな恋愛してるだろ?」
俺は愛輝が好きだし。とは、口が裂けても言えない。…今のとこ。
「んー…そだね。」
うーんと、考える愛輝に「1人だけな」っと釘をさしておく。
じゃないと愛輝なら、みんな好きとか言い出しそうだし。
「うー……」
「………」
「んー……」
「………」
「あー……」
「…別に好きじゃなくてもいいや愛輝の1番の人、教えて?」
中々答えない愛輝に、俺は好きな人はいないとみた。
わかった、と言って考える愛輝。