もしも、世界が美しかったら
「ただいまー」
振り替えれば当たり前の様に愛輝が立っていた。
「い、今の話聞いてた!??」
俺の心臓、バックバクなんですけどーっっ!
「大丈夫、聞いてないよ」
焦りまくる俺が可笑しいのか、
花梨は笑いながら答えた。
「何?何の話?」
「恋バナしてたの!愛輝と花梨もするでしょ!?」
「するする!」
退けていたイスを引っ張ってきた花梨と愛輝を加えて恋バナ再開。
「愛輝ってさ、今まで誰かと付き合ったことある?」
「ないよ!」
來の質問に対して、満面の笑みで返事する愛輝。
彼氏いない歴17年のことを、そんな堂々と言う女子高生も今どき珍しいと思う。
まぁ、俺も彼女いない歴17年だから人のことは言えないけど…。
「彼氏、欲しくないの?」
「どっちでも良い!」
「キスしたくない?」
「どっちでも良い!」
「付き合ってて言われたら?」
「どっちでも良い!」
「異性として好きになってって言われたら?」
「由輝ちゃんと利玖と夏琅と涼介の次で良ければ!」
「誰かにギューって抱きしめてほしくなったら?」
「由輝ちゃんにしてもらう!」