もしも、世界が美しかったら
涙で顔をクシャクシャにしながらも、花梨の言葉にうなずく來。
「なつろ…」
隣で呟いた愛輝の声は震えてた。
「利玖!」
「りょ…すけ」
振り替えれば肩で息をした涼介がいた。
「今っ……病室行ったら…血ィ…吐いたって…!…利玖…ッッ…夏琅は…っ…!?」
俺は何も言えずに目を伏せた。
その拍子に必死に堪えていた涙が溢れた。
俺の対応に涼介が息を飲むのがわかった。
「夏琅……」
おぼつかない足取りで、治療室の前まで歩く涼介。
「な…つろ………夏琅…ッッ……夏琅…!」
扉を殴り涼介は崩れ落ちた。
「夏琅…ヒック…っ…夏琅ぉ!」
しゃがみこんだ愛輝はゴシゴシと涙を脱ぐものの涙は止まらない。
脳には苦しそうに血を吐く夏琅が鮮明に浮かぶ。
「………クッソ…」
不安で不安で俺は…………
血が出るんじゃないかってくらい強く強く拳を握り締めた。
「…ッッ…り…く?」
そっと扉に触れた。
「おい……夏琅。お前の大好きな來が泣いてんぞ…?お前の大切な仲間たちみんな泣いてんぞ…?
お前、由輝に病気のこと嘘つかしてまで、俺らの泣き顔見たくなかったんだろ…?」