もしも、世界が美しかったら



「とりあえず…一命はとりとめましたが、あとは心臓との相性と
夏琅くんの生きたいと思う気持ち次第です」

「そう、ですか……」

一命はとりとめたものの、
目が覚めるまで安心はできない。

「夏琅くんは、こんな素晴らしい友達がいるんだから、生きたくないわけがないだろう?一秒でも早く目が覚める様に、たくさん話かけてあげてください。」

優しく微笑む医師の顔を見て、
俺たちは「はい」っと返事した。



ピリリリリ…ッ

「もしもし……?」

病室に戻る途中…携帯が鳴り響き愛輝はすぐに電話に出た。

いつもどうりの愛輝の対応からして、由輝ではないと思う。

みんな泣きすぎて目は真っ赤だけど、表情は穏やかだった。

夏琅…早く目ェ覚ませよ。

ベットで静かに眠っているのであろう、友人を想った。

…………に、してもホント由輝はどこ行ってんだ?

確かに、学校から病院まで来るのに時間はかかるけど…いくらなんでも遅すぎだろ。

遅すぎる幼なじみの到着に、少し不安がよぎった。



「嘘だっ!!!」

廊下に響いた愛輝の声に驚いて、即座に振り向いた。

「愛輝……?」

「………………」








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