もしも、世界が美しかったら
「でも…」
「わーったよ!」
愛輝の言葉を遮ったのは涼介。
「じゃあ、勉強終わったら俺ン家来いよ!」
私と涼介は同じ地元で同じく中学だったので、家は近い。
「ん。後で行くね?」
「おう!」
ニッと笑う涼介につられて私も微笑んだ。
「じゃーな花梨!早く来いよ!」
「待ってるからねー」
「気ィつけてな」
手を振りながら仲間たちは教室から出ていった。
「…………。」
いつもは騒がしい教室も、私1人だととても静かだ。
早く涼介の家に行くために黙々と問題を解いていく。
―――私は來や愛輝とは違う。
美人で優しい來、明るくて可愛い愛輝。
誰とでも仲良くなれる2人に私は憧れていた。自慢の友達だよ。
………でもね?
2人といるとたまに虚しくなるし惨めになるの。
みんな2人の方に行っちゃうから。
そりゃ…2人はクラスでも一、二位を争うくらいモテる。
たいして可愛くも、面白くもない私なんかと話すよりは、愛輝や來と話す方が楽しいに決まっている。
何の取り柄もない私。
2人のおまけの様な私。
2人と一緒にいるのに、ふさわしい人間になりたかった。