もしも、世界が美しかったら



運動もダメ。ルックスもダメ。

だから私は勉強をガンバった。

勉強だってあまり得意じゃなかったけど、ただひたすらガンバったの。

そのおかげで今じゃ学年の10位以内には、入れるようになった。



神様……

2人に負けたくないから、

2人より劣ってるのは嫌だからって、影でコソコソと勉強する私は

汚いですか?

ズルイですか?

卑怯ですか?


でも、ね?

2人の背中ばかり追いかけるのは嫌なんです。

私も一緒に並んで歩きたい。


2人とも…ううん。

愛輝と來だけじゃない。

涼介も夏琅も利玖も由輝も

私の大切な…本当に大切な友達。

ずっと一緒にいたいから…。

1人…置いてかれるのは嫌だから…だから私はがんばるの。

汚くて、ズルくて、卑怯でも……この居場所を失いたくないから。



―――みんなで卒業しような!

不意に昼間に夏琅が言った言葉を思い出す。


……うん。

絶対に、みんなそろって卒業しようね。

いつの間にか雨は止んでいて、綺麗な夕陽が見えた。


「……って、早くしなきゃ」

いつの間にか止まっていた手を再び動かす。






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