もしも、世界が美しかったら

―夏琅side―





みんながいつもみたいに見舞いに来てくれて…………。

確か…病室で恋バナになって、みんなで花梨の好きな人を聞こうとしてたんだ。

覚えているのはそこまで。

そして、気づけば今、真っ暗な闇の中に立っていた。


――――俺は死んだんだ。

理解した瞬間、後悔した。

もっと、來に愛してるって言っとけば良かった。

もっと、みんなに大好きって言っとけば良かった。

もっと、みんなにありがとうって言っとけば良かった……。

思い残すことなく天国に行こうと思ってたのに、最後の最後で人生最大の後悔をしてる。

俺のバカ………。


容量の悪い悪すぎる自分に呆れていると、不意に脳裏に幼い頃の映像が流れた。

あ……これが走馬灯ってヤツ?

ゆっくりと目を閉じた。


この世に生を受けたあの日から、親に愛されすくすく育ってきた。

幼稚園に入り他人と触れ合い、
初めて友達というのが出来た。

小学校に入り直ぐに勉強は嫌いになり、毎日外で遊んでた。

中学に入学し、部活に入って上下関係というのを知った。

そして……高校に入学して、かけがえのない仲間たちと出会った。









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