もしも、世界が美しかったら



「良いじゃねぇか。目標ある方が夢から覚める気になるだろ?」

「…………??」

…………どこか違和感を感じる。

夢にしちゃリアルだ。

由輝の姿も、由輝の言葉も。

「愛輝に伝言。“酷いこと言ってゴメン。だいすきだよ。ずっと見守ってるから、泣かないで”って言っといて」

「はい?」

「……え、あんな短い録音もムリなわけ?」

「や、録音は完璧。………つか、そんなの自分で言えよ」

「恥ずかしくて言えるかよ。ここが夢の世界なんだから、お前にだって頼めんだよ。」

由輝はニッと笑った。

「ふーん…」

でも、何か納得できない。

由輝の口から聞いた方が、愛輝だって絶対喜ぶのにー……。


「あと………これ、夢から覚めた夏琅に伝言」

「あ?」

夢から覚めた俺って…なにそれ。

「お前は生きろ。」

「…………え?」

由輝の顔があまりにも真剣だからドキッとした。


「來のこと幸せにしてやれ。それから、ずっと、アイツらと一緒に笑ってろ。お前も幸せになれ」

苦しそうな、切なそうな声。

何でそんなに泣きそうなんだよ?










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