もしも、世界が美しかったら
「何で…そんなこと言うんだよ?言わないでくれよ。もう、逢えないみてぇじゃねぇか………」
俺の言葉を聞いて、由輝は顔を隠す様にうつむいた。
「辛くても苦しくても生きて。
絶対に生きて生きて生きて。
みんなで幸せになってくれ…っ」
かすれていく声、小さく震える肩強く握られた拳。
「俺の分まで、幸せになって」
そう言った声が泣いている様に聞こえた。
「由輝も……一緒に生きてくんだよ。一緒に幸せになるんだよ。」
「っ、」
ポタリ、と地面に透明な雫が一粒落ちた。
「笑えよ。…笑ってくれねぇと、俺まで泣きたくなるだろ……?」
「……っ、ゴメ…ッッ」
荒々しく目元を拭う由輝。
なぁ、何で泣いてんだよ?
夢から覚めれば夢の由輝とは会えねーけど、由輝とは会えるだろ?
「ほら行こうぜ!」
行く宛てなんかないけど、吸い寄せられる様に歩く。
………しかし、由輝は俺の手を振り払った。
「由輝…?」
「お前は、そっちじゃねぇ」
「え?」
俺の後ろを指差す。その指につられる様に振り向いた。
突然のまばゆい光に目を細める。