もしも、世界が美しかったら



―――――…ろ、なつろ……っ

この声は………。

「じゃあな、夏琅」

「え、あ?オイッ!!」

光の中に消えて行く由輝。

「サヨナラは言わねー」

たかが…夢、なのに俺は思わず
手を伸ばした。名前を呼んだ。

(このままじゃ、)

(また後悔するような気がして)


「        」

微かに由輝の口が動いた。

「――――……えっ、?」

まぶしくて思わず目を閉じた。


視界から………由輝が消えた。





「夏琅………!!!」

目を開けると、そこには―……
大切な大切な仲間たち。

「良かっ……良かったぁ…」

そう言って涙を流す來。

そんな來につられて部屋にいた
愛輝、利玖、花梨、涼介も泣き出した。

泣くなって、そう言いたいけど
言葉がでない。

……つーか、何で泣いてんだよ。

ちょっと気ィ失っただけなのに。

まぁ…心配してくれたんだよな。

酸素マスクが付けられていて喋ることも出来ないので、心の中で心配かけてごめん、と謝った。



しばらくして、看護婦さんに酸素マスクを外してもらった。

「先生呼んできますね」と言って部屋を出ていく。











< 171 / 244 >

この作品をシェア

pagetop