もしも、世界が美しかったら



「夏琅っ」

珍しく來から抱きついてきた。

俺はちょっと驚きつつも、俺の首に腕を回す來が愛しくてその長いさらさらの髪を撫でる。

「心配かけてごめんな……」

小さく呟くと來は首を振った。

「もう…いいの……」

顔を上げた來に、もう一度ごめんと言って口づけた。


「はい、ストーップ!!」

「來!そんな事してる場合じゃないでしょ!!

涼介が俺から來を剥がす。

そんな事って……花梨、ヒドイ!

俺は残り少ない命で來とイチャついてんのに、そんな事って!!

「あ、そうだね!こんな事してる場合じゃなかった!」

來まで!?さっきまで、ノリノリだったくせにっ

一気にこんなにツッコむのはしんどいから、とりあえず心の中でツッコミをいれておく。


コンコンッ……

「夏琅!!」

ノックの後に入って来たのは、
俺の両親と担当医の栄先生。

「あ、俺たちは席外すな。」

気をつかってくれたんだろう。

そう言ってみんなは出ていった。


「さて、夏琅くんに大切な話があるんだ―――……」

「え………?」


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