もしも、世界が美しかったら
「あのさ……由輝は?」
あの日、俺が血を吐いた日から
由輝とは一回も合っていない。
まぁ、俺はずっと寝てた訳だからその間に来てくれたのかもしんねぇけど……。
あの夢……もしあのまま闇の方に歩いて行ってたら俺は本当に死んでいたのかもしれない。
それを、止めてくれたのは由輝。俺に正しい道を教えてくれたのは由輝だ。
(まぁ、夢の中の話だから本物の由輝は知らないと思うけど)
―――――由輝に会いたい。
お前のおかげで………俺は助かったんだから。
「あ、…えっと……」
「?」
由輝の名前を出すと、明らかにみんなの様子がおかしくなった。
「あのね、夏琅………」
「夏琅」
花梨の言葉を遮り愛輝がベットの前に立った。その隣には利玖。
「………なんだよ?」
いつになく真剣な2人。
「あのな、夏琅…。由輝は」
「おい、利玖!」
何か話そうとした利玖を、慌てて涼介が止めた。
利玖は怪訝そうに眉をしかめる。
「なんだよ?遅かれ早かれ知ることじゃねーか」
「だけど……っ!こんなの急過ぎる!!夏琅はまだ目を覚ましたばかりなんだよ!?」
花梨が利玖に言う。