もしも、世界が美しかったら
俺は訳が分からず呆然と見守る。
「夏琅」
名前を呼ばれ愛輝を見上げる。
声がすごい冷たく感じた。
表情も冷たい。
(でも、泣きそうな表情……)
「愛輝、やめて!!」
來の声が病室に響く。
「由輝ちゃん、死んじゃったの」
「―――――――………は?」
言葉が出ない。
意味がわからない。
わかりたくない。
由輝が死んだ。
死んだ、しんだ、シンダ……。
由輝が……………。
「嘘、だろ………??」
嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。
嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。
嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。
ウソだウソだウソだウソだウソだ
ウソだウソだウソだウソだウソだ
うそだうそだうそだうそだうそだ
そんなの…絶対に――…
「嘘じゃないよ。由輝ちゃんは
死んだの。バイクでここに来る途中に、トラックとぶつかって…」
死んじゃったんだよ。
無表情で告げる愛輝。
ズキンッと頭に鈍い痛みが走る。
「それから…………」
愛輝はスっと俺を指差す。
俺の心臓あたり、を―――……
も し か し て
「夏琅の心臓、由輝ちゃんの」