もしも、世界が美しかったら
あの時、由輝はどんな顔してた?
―――俺の分まで幸せになって
…………由輝は分かってたんだ。
自分が死ぬことを。
もう二度と笑い合えないことを。
もう二度と共に歩けないことを。
もう二度と逢えないことを。
もう、二度と………………。
だから……だからあんな事を俺に言ったんだ。
何時でも俺を支えてくれた由輝。
何時でも俺を救ってくれた由輝。
それなのに、俺は……俺、は……
オレは………お れ は………
―――由輝も一緒に生きてくんだよ。一緒に幸せになるんだよ。
―――笑えよ。笑ってくれねぇと俺まで泣くだろ…?
由輝のこと………
何も分かっちゃいなかったんだ。
「………っっああ゙あ゙ああああああああ゙あああ゙あッッ!!!!」
「夏琅っ!!???」
泣いていたみんなが俺を見た。
「何で…ッッ、何で何で何で何で何で何で何でなんでなんでなんでナンデナンデ……っっっ!!!」
「夏琅!落ち着いて!!」
「何で…っ、ナンデ由輝が死ぬんだよぉぉおおおッッッッ!!」
俺は腕に挿してあった点滴の針を乱暴に引き抜いた。