もしも、世界が美しかったら
「夏琅、やめて!!」
「うるせぇ!!!」
「キャアッ」
止めようとした來を押し退けた。
「早く先生呼んで!!」
もう………何もワカラナイ。
由輝はまだまだしたい事が
たくさんあっただろう。
(俺がそうである様に、)
もっとバスケしたかっただろう。
みんなで卒業したかっただろう。
愛輝の隣にいたかっただろう。
もっと笑っていたかっただろう。
幸せな未来を夢見てただろう。
もっと生きたかっただろう。
それなのに…それなのに………
何で、由輝が死ぬんだよ。
何で、由輝がシヌんだよ。
何で、ユキがシヌんだよ。
ナンデ、ユキがシヌんだよ。
由輝が死ぬくらいなら…………
「俺が死ねばよかったんだッ!」
パァン……ッッ!
病室に乾いた音が響く。
右頬がヒリヒリと痛む。
「……にすんだよ。―――愛輝」
俺は目の前の愛輝を睨んだ。
他のみんなも驚いた表情で愛輝を凝視していた。
「夏琅、由輝ちゃんのこと………ぜんぜん分かってない」
先ほどの無表情とは違い、その表情は泣きそうだった。
でも、真っ直ぐに俺を見ていた。