もしも、世界が美しかったら
頭が重い。
目を開ければ見慣れた天井。
ゆ、め………?
夢だったんだと気づくのに、少し時間が掛かった。
あぁ、そうだ。
由輝ちゃんは…もういないんだ。
* * * *
みんな黒い服に身を包んでいた。
みんな、泣いていた。
写真の中の由輝ちゃんだけが、
だいすきな笑顔で笑ってる。
由輝ちゃんを見れる最後の時。
近所の人、中学までの友達、高校の友達や先生、バスケ部員、親戚お母さん……。
順番に花を供えながら由輝ちゃんに話しかけている。
涼介、花梨、來、夏琅、利玖……みんな泣きながら由輝ちゃんに
花を供え話しかけてる。
―――そして、最後に私の番…。
「由輝ちゃん………」
蒼白の顔を見つめる。
その顔は寝顔みたいに穏やかで。
もう二度と起きる事はないなんて信じられない。(信じたくない)
「由輝ちゃん…由輝ちゃん……」
ちょっと強引なとこもあった。
意外と寝顔が可愛いかった。
子供の様に笑うこともあった。
たまにイジワルだった。
バスケがとても上手だった。
泣いてたら抱きしめてくれた。
いつでも手を握ってくれた。