もしも、世界が美しかったら
どれくらい泣いていただろう。
不意に足に違和感を感じた。
「ニャー」
視線を落とせば、そこには小さな小さな灰色の毛のネコ。
ニャーと鳴いて涙で濡れた手を、ペロペロと舐めてくれた。
「慰めてくれるの?」
「ミャー」
「ありがと………」
頭を撫でる。ふわふわしていて、温かくて気持ちいい。
「よし…」
渇かない涙を脱ぐう。
コンビニ袋を持って立ち上がる。
「またね」
ネコに手を振って歩き出した。
しかし、トコトコと私の後ろを
ついてくる小さなネコ。
「どうしたの?」
そっと小さな体を抱き上げて、
視線を合わす。
「君………野良のにゃんこ?」
「ニャア」
「一緒に……来る?」
「ニャー」
「……良いよ、新しい家族だね」
私はネコを抱き、家に帰った。
家に帰ってコンビニで買ったオムライスを少しだけ食べた。
コンビニのオムライスは由輝ちゃんが作ってくれたのとは違って、美味しくなかった。
「名前は何が良いかな?」
ソファーの上で拾ってきた子猫と遊びながらんーっと考える。
そして、懐かしい記憶と共に出てきた名前……。
「君の名前は……キラ、ね?」