もしも、世界が美しかったら



ニャー、と返事する見たいに鳴くキラの頭を撫でてやった。

「あのね、キラって名前は由輝ちゃんが考えたんだよ?」

―――由輝ちゃん。にゃんこ飼うなら何て名前にする?

―――飼わねぇくせによくゆーよ

―――もしもの話!

―――んー、そうだな…ポチ?

―――にゃんこなのに?

―――にゃんこだから?他には…スーパーキャットとか猫丸とか?

―――もっと可愛いのが良い!

―――仕方ねぇな…じゃあ…

「キラ……」

―――由輝と愛輝の輝くって字を取って、キラってどうよ?

いつかした会話を思い出す。

「由輝ちゃんっていうのはね?
私の双子のお兄ちゃんなの!バスケが大好きで、優しいけどたまにイジワルしてくるんだ。それから……って何話してんだろーね」

ははっと笑ってキラを見る。

膝の上にいるキラは私を見上げて首を傾げている。

まだまだたくさん出てくる由輝ちゃんの話に、あぁ大好きだった…いや、大好きなんだなって改めて実感する。

ぼんやりと視界が滲んだ。

寂しいよ、由輝ちゃん……。

「ミャー…」

―ふっと、キラの真っ直ぐに私を見つめる黒い目が、由輝ちゃんに似ていると思った。








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