もしも、世界が美しかったら



本当、いちいち文句の多い奴だ。

「その男の子は顔良し、頭良し、運動神経良しの三拍子が揃ってんだけど……」

「それ、自分で言うか?」

「だまれ」

こほんっと咳払いをして、物語りを進める。

「でも、育った来た環境のおかけで性格に問題があってな。」

「あ、自覚有り?」

「…………。」

相原の頬を摘むと、いひゃいいひゃい!っと意味の分からねぇ事を言っている。

手を離してやると、少しふてくされながら頬を撫でていた。


「…続きは?」

「男の子の家庭は幼い頃から父親は病院長で全く家に帰って来ず、母親は小学生の頃に鬱になり育児放棄。その母親も男の子が中学に入ると同時に……自殺した。」

―――おい、何処に行くんだよ?

―――玲……。

“産んじゃって……ゴメン、ね”

それが母親からの最後の言葉。


「母親の葬儀の時、男の子は泣かなかった。それが原因で親戚中から冷たい目で見られた。」

―――母親が死んでも涙1つ流さないなんて……。

―――あの子には心ってもんがないのかしら?

………正直そんな事はどうでも良かった。

親戚中からどう言われようと、
腹は立たない。関係ない。







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