もしも、世界が美しかったら
―涼介side―
花梨以外のメンバーで、校舎から出る。
1人残してきた花梨が少し気になり、後ろ髪引かれる思いで一番後ろを歩く俺。
「あ!!スッゴい!!見てみてっあれ!」
先頭を歩いていた愛輝が指差したのは“グランド”
「「……おぉー」」
驚いているような、どうでもいいような声をあげるのは利玖と來。
「「………………」」
何も言わない…いや、言えないのは俺、由輝、夏琅。
先ほどの雨のおかげかグランドは巨大な水溜まり状態……。
いや、小さな湖かも…。
グランドの真ん中では、どこから飛んで来たのか鳥が泳いでいる。
これは…明日も部活はムリだな。
ハァ…とため息をつく俺たち3人をよそに、トコトコとグランドの方へと歩いて行くのは、好奇心旺盛の愛輝。
その後に続くのは、イタズラ好きの利玖。
「なぁ、愛輝ー?」
利玖が階段の上からグランドを覗く愛輝に話かける。
「んー?」
「最近、暑くねぇ?」
愛輝に意味のわかんねー質問をしだす利玖。
「そっか?」
俺らは後ろから、2人の様子を眺める。
「寒くはないよな」
「まぁ…もう春も終るしね」
「バカは風邪引かないってよく言うよな」