もしも、世界が美しかったら
「ジ・エンド」
………あぁ、死ぬな。
廻り廻る俺の記憶。
思い返せば悲惨な人生だった。
母親には産んだ事を謝られ、
父親には人生の汚点と言われ、
親戚中からは冷めた目で見られ、
心許せる友達すらいない…。
いつも独りで孤独で苦しかった。
……本当、ろくな事がなかった。
でも………
――碓水…玲くん……だよね?
――俺たちには玲が必要なんだ!
――15歳の誕生日おめでとう!
生まれてきてくれてありがとな。
それでも、俺は幸せだった。
小晴…理人…葵…紅鬼族………
お前達に逢えて良かった。
お前達と過ごせて楽しかった。
俺の唯一の幸せで、最高の幸せ。
羅奈のリーダーが振り被る。
じゃあな、紅鬼族の奴ら…。
じゃあな、小晴…………。
(幸せを、ありがとう)
ブシャァアア…ッ
飛び散る赤いしずく。
「………………っ!!?」
でも………それは俺のじゃない。
「なーに………一人で、かっこつけようと…してん、の…っ?」
………俺をかばった小晴が斬られたんだ。
振り向く小晴の笑顔。
しかし、その笑顔はすぐにコンクリートに崩れ落ちた。