もしも、世界が美しかったら
「 」
「え…?」
グイッ
突如、後ろから引っ張られ小晴と引き離される。
「小晴…!!」
「はいはーい。総長さんはこっちねー!」
「なーにホモってんだよ!!」
みぞおち殴られ地面に膝をつく。
「ゲホゲホ…ッ」
羅奈のリーダーに首を絞められ体を持ち上げられた。
なんつー腕力してんだよ……。
「あの紅鬼族の総長が、こんなに華奢とはな…。」
羅奈のリーダーはニヤリと不気味に笑う。
「俺らも、たかが中坊に壊滅状態まで追い込まれメンツが丸潰れなんだよ。」
ググッ…と少しづつ首を絞める力が強くなっていく。
「だから、お前とアイツを殺して紅鬼族をぶっ潰してやる。」
リーダーの視線の先には袋叩きにされている小晴の姿。
「ま、お前らに免じて病院送りで許してやんよ。」
「グッ……あ…っっ」
意識が朦朧としてきたころ……
ファンファンファン………
遠くから聞こえたサイレンの音。
その音は確実に近づいてくる。
「何でサツが…!?」
「良いから、逃げんぞ!」
俺と小晴を残し羅奈の奴らはバイクで去って行った。
冷たい雨が体を打ち付ける。