もしも、世界が美しかったら
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「結局、俺は小晴の葬式に参加する事はできなかった……。」
喧嘩のための集団じゃなかった。
俺は、ただ……居場所が、仲間が欲しかったんだ。
「俺が殺した様なもんなんだよ」
俺が一人で勝手なことしなければ小晴が死ぬことはなかった…。
「大切な人を失った時の……あの悲しみは半端ねぇよな」
あの苦しみも、あの切なさも、
あの絶望も、あの空虚も、
全部、体験した奴にだけ分かる。
「……………。」
相原は何も言わず手を握った。
その手が温かくて、不意に泣きたくなった。
「………俺、帰るわ」
「うん………。」
体を起こす相原にそのままで良いからと言って立ち上がる。
「…………碓水!」
ドアノブに手をかけたところで、呼び止められた。
「二学期……学校、来るよね?」
まっすぐ俺を見る相原。
「…………考えとく。」
そう言って俺は相原家を出た。
あの時、相原に声をかけたのは…
俺に似ていると思ったからかもしれない。
ただ違うのは……
大切な人がいない現実を
相原には受け入れる勇気があって
俺には無いということ。