もしも、世界が美しかったら
「………………。」
ガラッ
目の前の扉をあげた。
俺の姿を見てざわめく教室。
今日から新学期…………。
目が覚めてしまい何となく、学校に来てみた。
「……あ、碓水ー!おはよっ」
俺の存在に気付いた相原は、直ぐに手を振ってくる。
何て答えれば良いかわからないので…………とりあえず、無視。
席に座った直後、チャイムが鳴り担任が入ってきた。
「やぁ、みんな久しぶり。いろいろ連絡あるんだが………とりあえず転校生を紹介する」
転校生というフレーズにクラスがざわめく。
そんなクラスをよそに、俺は携帯をいじっている。
「先生!女ですか!?男の子ですか!?」と、ありきたりな質問をしているのは葛城だ。
「はい、静かにー。大槻、入って来てくれ」
教室は静まりかえり、扉が開く音がやけに響いた。
「「おぉぉ……っ」」
クラスメートの声に俺は顔を上げた。
立っているのは髪の長い女子。
「大槻香純です!これから宜しくお願いします」
何処からとなく拍手が沸く。
――――この女が俺の、俺たちの人生を大きく変える事になるとはまだ誰も知らない。
運命の歯車は歪な方へ動き出す